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この時のIT企画会議での議論から、政策委員会での決定を要する政策事項とは別に、N銀内の人、カネなどの業務にかかわる問題を横断的に協議する委員会(業務委員会)を立ち上げようという政策委は金融政策の決定以外にも、法律上、N銀の業務作成と変更、支店の移転、組織及び人員、給与支給基準の決定、不動産処分、予算など様々な事項の最終議決権限を有している。
しかし、そのすべてを一から議論していると、到底、捌ききれない。
実際、各審議委員は議決を要する種々の案件に忙殺されていた。 当時を知る関係者によると、浮上した業務委員会構想は、政策委の議決を求める前に粗ごなしの調整をする場を設ける発想だった。
構成メンバーは総裁、副総裁以下の各理事及び当該業務に関係する局長。 ただ、審議委員はメンバー外。
構想が伝えられた時、この人員構成はどこかで見たことがある、と審議委員たちは首をひねった。 政策委とは別に、執行役員中心の委員会とは。
円卓の復活にほかならないのではないか。 業務だけの議論で終わるかどうか。
ゼロ金利解除や、量的緩和策への転換などの際、政策委内の確執の結果、決定が遅れがちとなったことから、執行部が実質協議の場を政策委外に確保する狙いではないか。 いくつもの疑念が噴出、執行部と審議委員の間に亀裂が走った。
この当時のやりとりは一切、議事要旨にも記録されていない。 何しろ、今もって(二○○四年一月)業務委の存在自体、報道発表もされておらず、N銀の機構図にも明記されていないのだから。
結局、業務委には、総裁は参加せず、定期開催ともせず、業務ニーズに応じて副総裁が主宰する随時モノ、カネなどの動きが出てくる。 開催の委員会に制限して、二○○二年度に密かに発足した。
旧円卓への回帰の可能性を完全に払拭したかどうかは不明なままだ。 業務委員会問題は、N銀のガバナンス(統治)問題を改めて姐上に乗せた。
N銀発足に際して、組織の設計図を引いたFは次のように明かす。 「コーポレートガバナンスの立場からN銀を考えた時に、米国の会社の経営と執行を分離したガバナンスのやり方を考えた。
日本の現状からいうと飛躍があるのだが、今後百年の計ということで。 ただ、悩んだのは旧法が政策委を巡って、二ボードシステムだったという批判が強くあった点だ」企業のガバナンスになぞらえると、ボードである政策委は経営方針の立案を担当し、総裁、副総裁の執行部とともに理事以下が、専門家として執行に当たる。
N銀の執行とは市場操作や銀行考査などの実務とマネジメント。 では金融政策はどうか。
「執行委員会をもう少し明示的にして、そこが戦略的な提案を作ってボードに出していく。 ボードはきちんとそれをチェックし、執行部はそれを責任を持ち執行する。
これがチェックアンドバランス。 もう昔の悪い二ボード制のイメージは払拭できたのではないか」Fのこの説明は、前述の深尾が言うニュージーランド中銀方式にも近い。
専門家が政策を含めて草案を作り、政策委がそれを決定し、執行は執行部に委ねる。 だが、それでは専門家でない政策委は結果的に執行委の言いなりになり、スリーピング・ボードに戻るのではないか。
草案の立案を任されるだけとしても、縦割り組織に縛られたN銀マンが、執行部の中で最適な政策草案を作るために、上司と意見二○○一年三月十九日に決定された量的緩和策はその後、目標とする当座預金残高を当初の五兆円から実に一十七兆三十一兆円(一○○三年十月十日の決定)に引き上げ、その後も継続されている(一○○四年一月現在)。 世界のC史上例のない量をターゲットにした金融政策の現時点での評価はF自身、米国型のコーポレートガバナンスがまだ日本のビジネス社会に定着していないことを認める。
「執行役員の立場が中途半端。 自分が責任を持って戦略を提案し、承認を受けたら責任を持ってやり遂げるというのは単なる部長ではない。
ところがオレの提案が承認されて実行したんだという感覚がまだまだ少ない」民間企業においておや、ましてやN銀はということか。 二○○三年四月の商法改正では、「委員会等設置会社」への移行が認められた。
単に経営と執行の分離というだけでなく、企業の経営に当たる取締役会に「監督」「報酬」「指名」の三委員会を設置し、ガバナンスをより透明にする方式だ。 N銀の場合、総裁や審議委員の指名は内閣任命だから、指名委員会は現実的ではないが、他の委員会をどう位置づけるか。
最大の課題は、総裁ポストの扱いかもしれない。 執行部の長でありながら、政策委の議長を兼ねている現状が、ガバナンス上の透明性を損ねていないかという疑問だ。
Fは総裁就任後、金融政策については迅速性を意識した対応を重ねているが、組織改革・ガバナンスという点では、業務委員会の扱いを含めて、年来の持論を現実化させるまでに至っていない。 が対立してでも、払拭しきれない。
自説を押し立てることができるだろうか。 結局、上意下達の旧法の世界に戻る懸念もどうなのか。
量的緩和策への転換で主導を果たした増洲チームの一人で、企画局審議役だったS方明はその後、一○○二年七月に増洲退任後に後任の政策担当理事に就いた。 実力者ぶりを発揮した増測の退任は、理事任期を満了したためだった。
旧法以来、理事の再任無しは原則化しており、増測もその例外ではなかった。 Sは一○○二年七月の時点で、量的緩和策実施後の検証論文を発表した。
その中で、Sは個人的意見として、量的緩和策に次のような評価を示している。 「暫定的な結論としては、ゼロ金利下でのリザーブ(当座預金残高)の増加はこれまでのところ経済活動を刺激する効果はなかったと言えよう」Sは、金利政策から量的緩和策に切り替えたことで、金融政策の有効性が低下した背景にある二つの留意点を挙げている。
@ゼロ金利制約(金利をゼロ以下にできないこと)陸当座預金残高の増加が緩和効果を発揮すること自体を制約するA追加的な金融緩和の有効性は失われているが、「金融が緩和されているという状態」自体は、いったん何らかの理由で需要が増えると、その需要をサポートすることを通じて強力な刺激効果を発揮する。 @は要するに、金利がゼロだと、量に切り替えても大した効果は出ないと言っている。
つまり金利機能が限界に達すると、金融政策の効果はほぼ終わるとの主張だ。 Aはいわゆる時間軸効果の評価。
景気が上向いた時にも「緩和状態」を続けることで、刺激効果を高められるとの論理だ。 実際に、マネタリーベースとマネーサプライ(M2+CD)、名目GDPの長期的な推移の比較(図1)をみると、一九九○年代前半までは、それぞれの動きはほぼ歩調を合わせていた。
しかし、短期金利が○・五%になった九五年ごろから、その相互歩調は徐々に崩れていく。 特にマネタリーベースの増マネタリーベースは、準備率調整後の航シャドーは、超低金利期S方明「「量的緩和」採用後・年間の維験」加が著しくなる量的緩和策導入以降は、その乗離が目立っている。
これは量的緩和策を拡大しても、マネーサプライは有意に増えず、成長率にも反映しにくいことを意味している。 Sの評価は、個人的と断っているが、執行部基本見解とみなしてほぼ間違いない。
こうした見方は、実はだった。
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円卓の復活にほかならないのではないか。 業務だけの議論で終わるかどうか。
ゼロ金利解除や、量的緩和策への転換などの際、政策委内の確執の結果、決定が遅れがちとなったことから、執行部が実質協議の場を政策委外に確保する狙いではないか。 いくつもの疑念が噴出、執行部と審議委員の間に亀裂が走った。
この当時のやりとりは一切、議事要旨にも記録されていない。 何しろ、今もって(二○○四年一月)業務委の存在自体、報道発表もされておらず、N銀の機構図にも明記されていないのだから。
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@ゼロ金利制約(金利をゼロ以下にできないこと)陸当座預金残高の増加が緩和効果を発揮すること自体を制約するA追加的な金融緩和の有効性は失われているが、「金融が緩和されているという状態」自体は、いったん何らかの理由で需要が増えると、その需要をサポートすることを通じて強力な刺激効果を発揮する。 @は要するに、金利がゼロだと、量に切り替えても大した効果は出ないと言っている。
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